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2025/02/08 08:18 |
そらとあまみ 4
 新番組『MHP2G ※ただし百合に限る』 毎週日曜夜01:15~01:42


 雪山に住む最小金冠キリン幼女。彼女は同じ山を棲処とする最大金冠クシャルダオラお姉様に憧れるどこにでもいるごく普通の古龍種。だが雷属性は弱点だからと気を遣ってお近づきになることができない! そんなキリンにクシャは自らの甲殻をわざと錆びさせ弱点属性を変えることでそっと抱き寄せるのだった!! しかし初デートの日!!! 雪山は極限の飢餓に陥った強個体ティガレックス娘とラージャン娘によって荒廃の戦場と化していたのだった!!!! 出撃せよハンター!!!!! ぼくらの異種百合おねロリ体格差カプとあとついでにポッケ村を守ってくれ!!!!!!
 次回! 大連続狩猟クエスト・ダイヤモンドダスト!! 「何度言われてもこれしか防具ないのよ! だから実用スキル重視するとスカルギザミになるんだっつってるでしょいい加減現実を直視しなさいよ!! どうせあんたたちキリン装備とかザザミ装備とかナルガ装備とかの可愛らしい女の子がえっちぃ目に遭うのを期待してるんでしょエロ同人みたいに! ディアブロZちゃんあっちで泣いてたわよ!? わっ私だって骸骨仮面外せばけっこうイけるんだからね! カイザミ? 古龍の大宝玉なんてナナソレイユに使ったわよとっくの昔に! やめてよ蟹臭いとか言うな! 蟹臭いとか言うなーっ!」
 見てくれないとハチミツちょうだい→フレに呼ばれたいんで抜けますね^^;






あ、本文の内容とはまったく関係ないです

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 茜色に傾く陽射しが眼に突き刺さる。
 空は眼を細め、顎を上げるようにしてルートの先を見つめる。岩壁に張りつくようにして。いま、空のからだを支えているのは彼女自身の右指先と両脚の爪先だけで、左手は腰の後ろに回されてチョーク・バッグに突っ込まれている。炭酸マグネシウムの白い粉が汗を吸収し、乾燥させ、スリップを防ぐ。
 両手の、人差し指と中指、そして手首にはテーピングがきつく巻かれ、チョークのせいで石像めいて白くなっている。じんじんとした痛みが断続的に皮膚を伝う。関節が熱くなっており、その温度が冬の冷気を越えて発火している。
 
 体感的に、七十度から八十度近い垂壁。
 ラスト・ピッチ――
 最後の支点まで二十メートル。腰のハーネスからダブル・ロープが下方に伸び、いくつかのクイックドローを経て、真下の支点からパートナーが確保している。いま落下すればそのパートナーががっちりと確保し、グランドフォールだけは免れる。だがそれも当てにはならなさそうだと、空は溜息をつく。
 
 「久し振りにしちゃ随分とタフだこと……」
 ひとりごちる。
 
 眼前からつるつるに磨かれたスラブ(一枚岩)になっている。夕陽のなかでさえ白く光っているような、大理石の床を思わせる代物だ。目立ったホールドもなく、やるとしたらフラットソールの爪先に重心をかけ、バランスとスメアリングで突破する他ないように思われた。フット・ホールドも一ミリあればいいほうだろう。
 (というかピトンがない)
 それはつまり、クイックドローにザイルを通して、自分のからだを確保できないことを意味する。十メートルほどそれができない――ランナウトせねばならないとなれば、ザイルが折り返して、軽く二十メートルは自由落下することになる。ザイルの伸縮分を考えれば、さらに数メートルは。
 人間のからだが三十メートル墜ちていく。その単純な事実が、どれだけ怖ろしいことか。
 
 「ま、やるんだけどさ」
 空はそろそろと手を伸ばす。
 
 岩の肌を掃くように、手のひらの感覚で手がかりを求める。どうにも具合が悪い。体重を預けるには心許ない。目一杯腕を伸ばして、感覚を指先に託す。
 ある。爪が辛うじて引っ掛かるくらいの。
 力でからだを支えようとしてはならない。バランスだ。フラットソールの爪先を岩にぐっと押しつけて、摩擦をかけ、膝を伸ばす。数十センチからだが持ち上がる。さらに腕を伸ばしてホールドを探す。
 
 みるみるうちに、ふくらはぎがぱんぱんになる。痛い。
 三点支持三点支持と、呪文のように口のなかで転がす。初心者のように。気分はすっかりビギナーになってしまっており、心許ない気分が胸をびっしりと満たす。墜ちるのが怖い。全身が一気に冷えていくような感じがする。
 四肢の内、三でからだを支えていれば墜ちることはない――それは理屈だ。バランスが崩れれば、あるいは爪先の摩擦が少しずれれば、いとも容易く落下してしまう。それは感じでわかる。なによりも単純な感覚。そして恐怖。
 
 「っッく……」
 喘ぐように声を出す。
 (ああ、ぞわぞわする)
 
 数センチずつからだを持ち上げていく。
 いまにも墜ちそうなバランスのまま。
 怖ろしい作業が延々と続く。
 
 「よし」
 見えた。
 真上に黒い亀裂が縦に走っている。指先が辛うじて入るか入らないかくらいの。が、いまの空には充分すぎるほどの救いだ。
 「よし……よしっ!」
 右手の人差し指と中指が入った。
 角度がいい。しっかりしたフィンガー・ホールドだ。
 
 「ふー」
 気が緩み、ぐっと背筋を伸ばす。無茶な体勢だったものが、安定したかたちになり、全身がすっかり楽になる。よくよく見れば亀裂のなかにハーケンまで打ってあり、ありがたいことだと左手でハーネスを探り、ヌンチャクのカラビナをセットし、ザイルを通す。
 これでとりあえずは大丈夫だ。
 懸垂点までもう数メートルもない。空は大胆なムーブで軽いハングを乗っ越し、セルフ・ビレイを取る。三個のカラビナとスリングで支点をつくり、終了。
 
 パートナーに向けて声を上げる。「ビレイ解除!」
 すぐに返答。「ビレイ解除! ザイルアップ!」
 ダブルロープを纏めて引き上げていく。次はこのザイルが、パートナーを上から確保する手段になる。
 
 「ザイル一杯!」
 「了解!……ビレイOK! 登れ!」
 「クラーァイム!」
 
 ルベルソにザイルを通し、ひたすら巻き上げ続ける。リードを確保するのに比べ、セカンドの確保は楽だ。テンションがかかっても、その時点でルベルソがザイルを留めてくれる。なにも考えずに引き上げ続ければいい。
 途中、二度テンションがかかった。ルベルソ越しに振動が伝わり、ピトンにかけたカラビナがかちゃかちゃと鳴り響く。
 (スラブで滑ったんだろうな)
 
 セカンドが登ってくる。空のところまで到着すると、もう肩で息をしている。
 「櫛灘ァ……」
 「お疲れ、芦田」
 「おまえ、おまっ」ぜえぜえと声を荒げて、芦田は空を指差して手を震わせる。「なに直登してんだよ!? こんなゲレンデでランナウトとかあるわけねえだろ! 右にトラバースすれば普通にクラックあったろうが、なんのためにナッツ持ってきたと思ってんだ!」
 「え?」
 
 空はきょとんとする。デイジーチェーンに体重をかけ、岩から少しからだを離し、真下を見下ろす。茜色の強い陽射しで霞んでいるが、確かにそう言われてみれば、自分が登ってきたところよりかなり右に簡単そうなルートがある。
 
 「別のルートかと思った」
 「おれを殺す気か! てかよく登れたな、ほんとにブランクあんのかよおまえ!」
 「あー、うん。ごめんて。やっぱ久し振りだとだめだね、ルートファインディングが――」
 「ばか、てめ、この、もう!」
 
 取り乱すザイルパートナーの様子がひどくおかしく思え、空は手の甲で口許を押さえてくすくすと笑う。それだけでは抑え切れず、ついには顔を背けてけたけたと声を上げて笑う。
 指がちりちりと痛む。その痛みさえもどこか痛快で、空はもう解き放たれたように笑い続けていた。
 
 
 
 コートがライト・アップされる。陽が沈みきるまえに。夕暮れの黒い茜色と、真っ白な照明が真っ向から交差し、フリースロー・ラインからゴールにかけて昼と夜の狭間に落ちる。足元から伸びる影が四方に伸びる。
 バッシュがアスファルトを踏む軽快な音。パスを求めるコールと好き勝手な野次。ボールが力強く弾み、その合間合間に人間の肉と肉が擦れ合う音まで上がる。煩雑で猥雑な楽器のない管弦楽。天見は眼を薄く細め、柵の外側に座ってそれらを聴いている。感じている。
 
 仕事帰りの社会人がぽつぽつと混ざり始めている。他にも帰宅部の高校生、講義をサボった大学生、あるいはニート。父親と息子、父親と娘。兄と妹。姉と弟。溜め込んだ鬱屈を発散するため、ストレスを解放するため、単なる楽しみ、生き甲斐の発露。
 叩きつけるようなパスワークが容赦なく行き来する。ファンブルが当たりまえになり、ファンブル狙いのスティールも増える。実力の突出した者のソロ・プレイに引き摺られ、場が昂揚する。目まぐるしく攻守が入れ替わり、ゴールが何度も何度もばさりばさりと揺さぶられる。力任せのダンクが飛び出すと、敵味方関係なく歓声が上がる。
 
 ミニマムサイズの祝祭。
 そうしたなか、鵠沼紡の姿は否応なく目立つ。
 女は彼女と、連れ添いらしい数人だけだ。男に混じって場を駆け抜け、跳躍し、ボールを操る様は誰と比べても遜色ない。ゴールの真下で、自分よりも遥かに巨大な相手センターと肩をぶつけてスクリーンアウトしあい、リバウンドを狙いさえする。
 小学生だとは誰も信じないだろう。天見もどこか信じていない。
 跳躍力にいたっては既に人間離れし始めている。ほとんど飛ぶように。いまにもダンクまで決めてしまいそうに見える。そんなことはありえないとわかっているはずなのに。
 
 紡がボールを受け取り、相手と向き合う。1on1。
 いっとき、嘘のように場が静まり返る。彼女と彼ふたりにその場の視線が吸収され、瞬間的に映画めいた空気ができあがる。西部劇、侍の殺陣、刹那の一騎打ちに。相手プレイヤーの眼は笑っていない。紡が誰かなどまるで考えてもいない。ただ相手の動きに反射し、最良の選択肢、最高のディフェンスを繰り出すだけの機械に成り果てている。そうした種類の真剣さ。
 が、紡は屈託のない笑みを浮かべている。心底楽しい遊びに直面した子供そのものになっている。
 
 ざわめきが上がる。
 そこから一連の動作は、天見の眼には映りさえしない。意識の外側にはみ出たように、認識の範囲から飛び出し、手元が霞んだようにしか見えなかった。一瞬遅れて、ようやく彼女らが動いたと見えたときには、ボールは紡の手には残っておらず、相手プレイヤーに弾かれてラインを割っている。
 溜息と歓声。まばらな拍手。
 
 天見はためらいがちに拍手し、声を上げる。「鵠沼さん――!」
 紡は手首を軽く振りながら天見を見上げ、悪戯を見咎められたように肩を竦め、ぺろりと舌を出してみせる。
 
 
 
 紡が戻ってくる。ハンドタオルを顔に押しつけて。「やー、負けたった負けたった」
 が、負けたような顔をしていない。心の底からとしか思えないような笑みだけを浮かべている。
 
 陽が沈みきって、あたりは暗い。照明のもたらす白だけが光源となっており、コートの外に出たふたりは、ほとんど届かない。半身を暗闇に埋めるようにしている。
 次の対戦に移ったコートは、ますますヒート・アップしている。どちらもその場限りの即興チームだ。見せつけるように、華麗な魅せプレイが次々と展開する。神がかりのタイミングでアリウープが決まり、ゴールが揺れると、ほとんど吼えるような歓声が上がる。
 
 「楽しそうでいいね」と天見は言う。
 「楽しいよぉ」紡はまだ動き足りないとでもいうようにぴょんぴょん飛び跳ねている。「あたし中学上がったらバスケ部いくつもり! 毎日遊べると思うとちょー楽しみ! テストはヤだけど……そしたら姫ちゃん勉強教えてよ、そんでもって一緒に部活やろーよー!」
 「私鵠沼さんみたく動けないから」
 「関係ないよ! 楽しかったらそれでいいんだよ!」
 
 紡はステップを踏むようにくるくると回る。掠めるように手を取られ、天見はつんのめる。前のめりになって引っ張られる。無理やりダンスのパートナーに誘われたかのように不器用な追いすがりかたをする。
 
 「姫ちゃんだって運動神経いいじゃん! 体力あるし! 持久走二位だったっしょ?」
 「一位の子にものすごい大差つけられてたけど」
 「うひひっへ」
 
 天見は一位を睨むように眉をひそめる。背中さえ見えなかった少女。
 
 「姫ちゃんワンゲルやるの?」
 「え?」
 「冬休みさ、山行ってたって話じゃん。寂しかったよー!? おばさんに聞いたらしばらく戻ってきませんなんて言うんだもん!」
 天見は少し考えるようにして言う。「……中学もあんまり行かないつもりだから。それに山だって、連れてかされただけで別に行きたかったわけじゃない」
 
 紡は急にしゃがみこむ。つられて天見もしゃがみこんでしまう。ふたりの姿は完全に影に隠れ、コート上の白熱もひどく遠く聞こえる。
 紡はちょこんと首を傾げる。そうしてくすくすと震えるように笑う。どうしてそんな反応をされるのかわからず、天見はますます表情を険しくしてみせる。けれど紡はまるで気にする様子もなく、ひたすら楽しそうにしてみせるのだ。
 
 「姫ちゃんさー、あたしのお姉ちゃんに似てるんだよなー。ときどき凶暴になるとことか」
 「なに?」
 「あのときもそうだったでしょ? 学校にあんまりこなくなった日。あんときはびっくりしたな、姫ちゃんネコ被ってたのかー! って」
 「……だからなに」
 「んふふふ」
 
 紡がなにを言いたいのかわからず、天見はいっとき、途方に暮れる。
 紡のほうこそ、やたら楽しそうに笑うのが櫛灘空にそっくりだと思う。ひとの手を引こうとするところも。
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2012/10/26 23:41 | Comments(3) | SS

コメント

やっぱり紡さんはあの紡さんですか。
弾幕ごっこだろうがバスケだろうが、勝とうが負けようが、全力出して戦うことが楽しいんでしょうね。
やっぱりどこの世界でも、何よりも自由で、どこまでも飛べる人なのでしょうね。
そして天見さんも知るかよクソがとか言っちゃう系のひとなんですね、わかりま(ry
posted by NONAME at 2012/10/27 04:54 [ コメントを修正する ]
キリン×クシャル!キリン×クシャル!!キリン×クシャル!!!
よし今こそこの無駄に強化しまくったティガセットの出番だうおオォー!
見える!今なら私にも内気で悪戯っ子なオオナズチさんと、無愛想に見えるけれど優しいガルルガさんのいちゃいちゃしてる光景が見える!

ああ、この感覚。夜麻産の作品に過去に出たキャラが再登場するといつもするこのドキドキ感。
早苗さんや絣さんの物語から枝分かれしているこの物語。果たしてどうなっていくのか・・・!
流石に幻想郷みたいな騒ぎは起きないでしょうけど。
posted by Carrot at 2012/10/29 04:22 [ コメントを修正する ]
>>NONAME様
ギルガメッシュ風に申しますと誰も気づかなかったらどうしようと思っていたところだ! だ! です(汗
この子らについてはどうしようかマジ迷ってるところです。オリジナルって。オリジナルって(滝汗

>>Carrot様
私レベルの病気になるともうモンハンが百合ゲーにしか見えなく(ry
このSSについては完全に手探りです。終わりも決めてません(汗
気の向くままこやつらのことを書き連ねてみようかなあと。唐突に更新停止したら申し訳ありませぬ別のSSを書いていると思って生温かい目でご覧くださいっ
posted by 夜麻産 at 2012/10/30 23:41 [ コメントを修正する ]

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