ムラいち執筆中。やーなー長くなる要素しかねえッ。経験上最低でも三ヶ月はかかるッ!
それはそうとらんゆかくださいらんゆからんゆか分不足してらんゆかはあはあにゃあああああああ!!!1!1!!1!!1
製作時間五時間セルフバーニンッ明日から本気出す!11!!1!11!!1!11
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その年はうだるような残暑が長く続いて、博麗神社の周りの樹木がなかなか色づかず、妖怪の山の初冠雪もずっと遅かったから、まだ持つだろうと思っていたのだ。
眼のまえがうっすらと白く霞んで、酒の酔いともまた違う、緩やかに意識が遠退いていくあの感覚が訪れたとき、私の向かいにはレミリアがいて、追加の酒を取りに行っていた霊夢がちょうど戻ってくるところだった。
月が強く、境内を照らしていた。かがり火の灯りより濃く、蒼白い粉のような光が、宴のみなの足元に、濃い影を落としている。
私にはもう彼女らの顔もはっきりと見えず、何十人もの足音と話し声が響くなかで、たまたま近くにいたレミリアと霊夢の顔だけしか区別できなかった。
「紫?」
ふと気づいたようなレミリアの声で初めて、自分のからだがゆっくりと傾いていくことを認識した。
頭が石畳の上に落ちる直前に、首の下にさっとレミリアの足が入り込んできて、衝突を免れた。そのときにはもう私の眼は閉じられていて、視界のスキマから、無理な体勢でスライディングしたレミリアの、戸惑ったような顔が見えた。
「わ……私と話してる最中に冬眠しやがったわ、こいつ。信じらんない。なんて失礼な女!」
レミリアが怒ったように言うと、霊夢はくすくすと笑って、「せっかく紫の好きなの持ってきてやったのに、無駄になっちゃったわね。あんた飲む?」
「日本酒よりもワインがいい」
「じゃあこれは私がやるわね。あーあ、妖怪の賢者サマがまあ無防備に吸血鬼の膝の上に……あんたらなに話してたの?」
「それはもちろん、これからの幻想郷の展望と妹について。なぜなら霊夢、あなたが妹系であることについて私とこいつの意見は一致していて、ならばいずれくるであろう次代の巫女もまた妹系なのかそれとも姉系なのかという」
「興味を失った」
霊夢は賽銭箱に座った。杯に注いだ酒をちろちろと啜って、ぼんやりと境内に眼を走らせる。
飲み干した後の杯を、ひらひらと振って、
「らーんっ!」
よく通る声で注意を引いた。
レミリアに襟首を掴まれて、ぐいと持ち上げられる。眠りに落ちた私のからだは弛緩しきって、かくんと首が後ろに仰け反った。背中を賽銭箱に預けられる。くたりと楽な姿勢になった拍子に、掴んでいたグラスが転がって、見えなくなった。本格的に、力が抜けてしまっていた。
藍が境内に座り込む少女たちのあいだを注意深く抜けてくる。尻尾のせいで横幅が広く、人混みのなかは苦手なのだ。誰かの肩を押し退けながらここまで辿り着くと、レミリアと、霊夢と、そのあいだで眠っている私を見た。なんとも微妙な感じに唇を歪めて、顔をしかめる。
レミリアが藍を指差して、「見目より心。あなたは姿かたちから一見姉系に見えるけれど、その実紛れもなく妹系よ。そして式の猫は妹系に見えても本質的に姉系。この私の見立てなのだから間違いはないわ」
「なんの話だ……?」
霊夢はまた飲み始めていて、両手で杯を支えて、藍のほうに眼をやってもいなかった。「あんたのご主人サマがこのとおりギヴ・アップしちゃったわけだけど、どうする? まだいるんなら布団敷くけど」
「いや、そろそろいい頃合だし、帰るとするよ。橙が潰れていたら、泊めてやってくれないか」
「はいはい」
慣れた感じで、藍に背負われた。尻尾のなかにほとんど埋まるようになって、うなじに頬が当たる。からだはもう完全に眠ってしまっていて、腕はだらんと垂れ下がるばかりで、どうにもできない。
情けない姿を見せてしまってるわね、と少し困る。酒宴のど真ん中でこのようになってしまうのは、さすがに想定外というか、単純に恥ずかしかった。背中に視線を感じる。囁き声や、くすくすと笑う声が自分に向いているようで、居心地が悪い。
「少し、驚いたな」と藍。
「なにが?」
「紫様がこんなに人妖が集まっているところでお休みになるのは初めてかもしれない。この瞬間だけは無防備そのものになってしまうから。結界も張らずに……あなたたちが余程……なんというか、リラックスできる相手だと感じられているんだろう」
「フッ、真の姉たる者はそのたたずまいだけで妹を安寧へ導くものなのよ」
「てかむしろ紫のほうがあんたを妹に見てると思うわ」
「な、なんですって!?」
私はどうにか言おうとする――余計なこと言わないで、藍――けれど、自分の意思ではぴくりともからだを動かせない。呼吸さえも思うがままにならない。緩やかな吐息が漏れ出て、藍の首の周りに留まって、しめやかになるばかりだった。
顔ばかりが赤くなっている気がする。衆目を集めるのは勘弁だというのに、喚くレミリアの声は高々と響くのだ。帰るのなら、はやく帰ってほしい。
そのとき、ぽたり、と頬に冷たいものが当たった。
藍が夜空を見上げる。つられたように、霊夢とレミリアも、また他の人妖たちも上を向く。月の灯りはそのままに、その周りを取り囲むように、灰色の雲が広まっていた。風に揺さぶられるように、白い粒がさらさらと降りてきていた。
雪……と、誰かが呟く声が聞こえた。
レミリアのグラスに一粒、忍び込むように落ちた。レミリアは手元をじっと見つめ、一息に、雪ごと飲み干した。
それを機に帰る者もいれば、まだ居座る者もいる。藍は擦れ違う者にどこか上の空に挨拶しながら、鳥居の下までくるとスキマを開いて、足を踏み入れた。視界が黒く反転して、また少し歩いて、揺さぶられながら、暗い道をゆく。
耳から宴の幻が消える頃、我が家へと帰りついた。
導師服の胸元を緩められて、静かに、布団に横たえられた。
火鉢がぱちぱちと爆ぜて、寝室が温まっていく。きぃんと張り詰めたような寒さが和らぐと、ぬるい湯水を溜めた桶の上で、藍の手が、固く布を絞った。襷を締めた袖が、わずかに濡れる。
次第に、降り注ぐ雪が重くなる、無音の音が襖の外に溜まっていく。冬の訪れがやっときたのだ……と思うと、その季節を存分に味わうことのできない我が身が、毎年のことながらもどかしく感じられた。陽の光の下で星を散らしたようにきらきらと輝く雪面、混じり気のない澄み切った冷気、白い雲を纏って高く黒ずむ青空――
着膨れして、愚痴りながらも異変の解決に向かう霊夢に、次は誰が手を貸してくれるのか……
心配ごとばかりが胸を苛む。暖かい秋のせいで油断して、今年は眠る準備も中途半端になってしまった。四季様にまたうんざりするような説教を喰らいそうだ。
「紫様。失礼します」
律儀に深く頭を下げてから、藍の手が、導師服を剥いでいく。
火鉢が燻っていても、寒いものは寒かった、まだ。身を覆う冷気に、眠ったからだが反射的に震え、ままならぬ喉が、小さく呻き声を上げた。腕に鳥肌が立つ。腰から上が、完全に外気に晒されると、辛さが増した。
肩を抱かれて起こされ、脚を投げ出して座り込む姿勢で、背を藍に預けるかたちになる。
九つの大きな尻尾が、音もなく揺れて、広まり、包み込まれた。花びらと茎のようになると、ようやく、震えるからだも収まった。
力のない首が傾いて、彼女の胸元に、頬を寄せた。布がからだを清め始めると、また、震えがくるようだった。
寝衣に着替えさせられて、羽毛の布団をそっとかけられるまで、どうにかまだ少し動けないものかと、感覚を追い続けた。
火皿の小さな灯りも消えてしまいそうで、隣に座る藍がいつ立ち上がってしまうのかと、気が気でなかった。
すべてを使い尽くしたような虚脱感が、腹の底からじんわりと広がっていて、手足の先が痺れるようなのだ。瞼さえも鉛の重く、わずかに開いた唇から漏れる吐息は、針のように細い。沼のように粘りつく闇の底に、静かに沈み落ちていくような感覚がずっと続いていて、心許ない、差し出した指先になにもかすらず縋りつくものをひたすら探しているような気持ちだった。
どうにか、して……
「では――」
言いかけ、頭を下げかけた藍の服の裾に、力なく触れた。
「……ら、ん」
「――紫様。まだ起きたままでおられるのですか?」
「ロス、たいむ……」
うっすらと開いた視界に、ふわりと緩んだ、微笑が見えた。
伸ばした手を、両手で包み込むように握られて、痺れる感覚の向こう側に、温かみを感じた。
良かった――と思う。まだもう少しだけ、動いてくれる。このまま三ヶ月以上眠ってしまうのは、寂しいのだ。千年単位で生き続けても、そうした想いは麻痺することがない。
儚い体温を辿るように、手を握った。瞼が震えて、また視界が閉じ、苦労して、また開いた。
「雪……雪が、みたい」
「外は寒いですよ」
「いい、から」
「はい」
そっと抱え上げられる。
頭のてっぺんから、足の先まで、もう死体のようだ。右手だけが、辛うじて動く。細かく息をつきながら、彼女の袖を掴んだ。というよりも、ほとんど触れるくらいしかできなかった。
襖が開けられると、眼の醒めるような冷たい風が吹き込んできた。冬の匂い……。全身全霊を賭けるように身じろぎして、逃れるように、彼女に身を寄せた。
縁側に、光はなかった。月はもう完全に雲に囲われて、一筋の白も落ちてこない。
葉を落とすことのない、針葉樹の緑の香りも、雪に削がれて届かない。ただ風の音だけが、世界のすべてとなって、力強く渦巻いている。
座らされても、腰に力が入らないのだ。簡単に崩れ落ちてしまうところを、藍の腕に支えられて、どうにかそのままでいる。肩に頭を預けると、尻尾が広がって、風を遮る。白がかった金毛は、こんなにも暗いなかでさえ、火を孕んでぼんやりと輝いているようだ。
雪を――というよりは、彼女を見ていた。見ていたというよりは感じていた。
瞼がほんとうに重くてたまらず、ほとんど眼を閉じていたから。今朝はまだ大丈夫だったのに、すっと崖を跳び下りるように、こうした状態に至ってしまう。思うがままにならないからだが、ひどくもどかしいものだ。
「コーヒーでもお飲みになられますか」
それで眼を覚ませればいいのだけれど。私は首を振ろうとして、そうした動きさえも難しいことに気づく。口を開くのさえ、億劫だ。「――い、い」
「寒くはありませんか」
「だいじょうぶ……」
寒さは、柔い尻尾が防いでくれる。
気だるく、動いてくれないからだへのもどかしさのほうが辛い。
それでも、彼女がそばにいてくれるだけありがたいのだ。ひとりであった頃は、誰もそばにいない不安と、強い焦燥感が、身を焼くようだった。信頼できぬ者に守られて、自分で張った結界がいつ途切れるか、ざわざわと居ても立ってもいられなくなるような。
藍が、霊夢とレミリアに、余程リラックスできる相手……と言ったけれど、確かにそうなのが、不思議といえば不思議だった。今代ほど、博麗の巫女と、近しく語り合ったことなどなかった。またレミリアのような、幻想入りしてきた妖怪とも……
まして、眼のまえで倒れるような、失態を晒すようなことはありえなかった。実際にそうなってみて、まったく支障もないようなのも、いまさらながら驚くような思いだった。
そういうことを、話してみたいと思うのだけれど、思考が回らず、なかなか辛い。
自由になる右手を持ち上げて、彼女の髪に触れた。藍は身じろぎして、肩に回した腕を、強く引き寄せた。
「季節、が……巡っ、て、また、春になる……」
「はい」
「ひとは、変わって、いく……長い眠りに入っても、もう、不安には、ならない……」
不安でなくても寂しいですよ、と彼女は耳元で囁いた。
彼女がそう、不貞腐れた妹のような声で言うこと自体、変わってしまったものだと、感慨深くなる。
聞くところによると、恋という感情が続くのは最初の三年だけらしい。そのあといったん冬のように冷え込んで、それを越えてしまうと、家族愛に移り変わるのだそうだ。
人間の言い分だから、その真贋は知らないし、またそうしたものが、百年を越えるとどうなるかなんて、検証もされないのだろうけれど。
経験上、また一巡りしている気がする。
小さなぬくもりを辿って、彼女の膝にもたれた。尻尾よりもっと柔い。もう立ち上がれそうにない。
ためらいがちに髪を梳かれて、沈むように息をつく。
触れるところから、切ないような愛おしさが込み上げてきて、視界が滲みさえする。
彼女の手を感じながら、苦しいように、そうした感覚に浸る。もう少しだけ起きていられたら……と、揺らぐ意識が悔しい。
泡沫のように、想いが浮かんでは消える。私はそれでも、思う存分に彼女を求めただろうか?
「紫様」
まどろみの意識に声が染み入る。
静かに眼を閉じ、胸いっぱいに深く吸い込むように呼吸をする。飲み込まれるような感覚が、闇のなかでぬくい。冷気のなかで、漂う甘い香りが花びらのように、ちりちりと、舞っている。
ほんのいっときのおやすみ。……じりじりと苦しみに似た、捉えがたい想いが溢れ、溺れそうになる。右手だけがほんの少しだけ、身じろぎするように揺れる。
手を握られる。
弱く、いまにも離れてしまいそうなほど慎ましいほどの力で。伝わる体温が海のように心地良い。
「紫様……」
もう少しだけ名を呼んでいて。
他になにもいらないから、眠りに落ちるまで、もう少しだけ、もっと、名を。
緩慢に回る思考にさえ追いつけず、縋るように身を寄せ合い、冬の冷気から逃れようとする。幸福感?……こんなに苦しいような幸せがあるのだろうか……触れるほど近くにいてさえ、まだ遠い……
静かだ。
なにも聞こえない。ただ触れているものの息づかいだけが、耳にさやかに届いてくる。
「空が高いですよ、紫様」
からだを持ち上げられて、彼女の膝に座って、背中をすっかり預けてしまう。
視界を薄く開く。
雪の舞う闇の彼方、雲を突き抜けて白い光が円く滲んでいる。ともすれば隠れてしまうような儚い色の、なんと遠いこと、遠いこと。
「……つめた、い。さむい」
「はいはい」
彼女の両手のひらが私の顔を覆う。
その手の上に、私の手を置く。閉じ込められた吐息が温かく漂う。
布団代わりの尻尾が九つ、覆い被さると、私は最後に残った右手の力も抜いて、彼女の温かみにすべてを委ねた。順繰りにスイッチを切っていき、血管の芯から眠り込んでいく。心臓の脈打つ音が遅くなりながらも、刻むための力を保って、熾のように燃える。
おやすみなさいと、言えたのかは、わからない。
雪の染み込む音と彼女の声を聞きながら、飲まれていく。このまま眠って、緩やかな夢を見ながら、時折彼女を思い出して、眼を開けるときは最初に彼女を見たい。見ることができなくても、最初に思うのは彼女だろう、きっと、何年も繰り返してきて、未だ慣れることのない……
「ら、ん……」
「はい。おやすみなさいませ、紫様」
私は眼を閉じる。
季節が巡って、私はまた、おはようと言う。
からだを引き摺るようにして起き上がると、もう、春の光が満ちている。
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コメント
>>1様
私はむしろ藍様の尻尾に包まれたいですw
てか藍様の尻尾に包まれてる紫様の御前で土下座したいで(ry
>>2様
なんかもう私が書くと紫様以外が全員イケメン枠で(ry
可愛い女の子が書きたいぃぃいいぃいい
拍手返信/
拍手くださった皆様ありがとうございますっ! 書く活力になります!
>>とうま様
読み返していただけたという事実に私が胸熱……ッ このふたりはもっともっと書きたいです。そしておぜうは溢れ出すぱぅわよりもさりげない気遣いによってカリスマを(ry
ムラいちもがんばります! ってか先が遠くて眩暈がッ
私はむしろ藍様の尻尾に包まれたいですw
てか藍様の尻尾に包まれてる紫様の御前で土下座したいで(ry
>>2様
なんかもう私が書くと紫様以外が全員イケメン枠で(ry
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拍手返信/
拍手くださった皆様ありがとうございますっ! 書く活力になります!
>>とうま様
読み返していただけたという事実に私が胸熱……ッ このふたりはもっともっと書きたいです。そしておぜうは溢れ出すぱぅわよりもさりげない気遣いによってカリスマを(ry
ムラいちもがんばります! ってか先が遠くて眩暈がッ
posted by 夜麻産 at 2012/08/01 23:15 [ コメントを修正する ]
あと藍ちゃんちょっと俺と代わ(ry